犬のおやつブランド「iico」を立ち上げて5年。
姉妹ふたりで始めたこのお店には、愛犬umuとの日々や、数えきれない試行錯誤が詰まっています。
たくさんの“できごと”を経た今、改めて「どうしてiicoなのか」を見つめ直したnoteです。
5年目の七夕に、本音で語る“イイコの物語”
1. はじめに
iicoを始めて5年。
今、改めて「なぜiicoなのか?」――そんな問いを、自分たちに投げかけてみたくなりました。
「iicoで買う理由」――そんなものが、本当に自分たちにあるのだろうか?
おやつを届けながら、ずっとどこかで自分自身にも問い続けてきた気がします。このnoteは、その答えを探すための時間です。
今このnoteを開いてくれているあなたは、
iicoのことをちょっと気になってくれている人かもしれないし、もしかしたら昔から見てくれている人かもしれません。
あるいは、偶然たどり着いた、まだ何も知らない誰かかもしれません。
どんな方でも、本当に嬉しいです。
姉妹で立ち上げて、悩みながらもみなさんと一緒に育ててきたiicoのこと――
少しだけ“本音の言葉”で伝えたくて、このnoteを書いています。
たった一人でも、読み終わったあと「iicoのことを、前よりちょっと好きになった」と思ってもらえたら、それだけで十分です。
本音を語るのは、いつも少しだけ勇気がいります。
これまでもできるだけ、まっすぐにiicoの想いを伝えてきたつもりです。
でも「どこまで裏側を見せていいのか」――その線引きはいまだに難しいまま。
おいしい・かわいい・たのしい――そんな前向きな空気を大切にしてきたからこそ、今回、どこまで泥臭さを見せてもいいのか、正直今も悩みながら書いています。
それでも、iicoが5年続いた今だからこそ語れることがあるはず。
そんな気持ちで、これから少しだけ、いつもより深くiicoのことを話してみようと思います。
2. iico誕生のきっかけと、名前とロゴのこと
2020年7月7日、私たち姉妹のiicoは始まりました。
きっかけは前の晩、動画を見ていたときにふと思いついたこと。
「犬関連の事業って、やってみたらどうかな?」と、突然アイデアが降りてきたんです。
このときは手づくりごはん屋さんもいいかも…なんて、まだぼんやりした構想でした。
隣にいた彼に伝えてみたら、「いいじゃん、あなたならできるよ」と二つ返事。その言葉に背中を押されて、一晩かけてできる限り考えをまとめてみました。
翌日7月7日、妹と会ったときに「一緒にやってみない?」と話してみたら、
妹も「やろう」と即答。その瞬間、お互いが同じ方向を見ている、と強く感じました。
そこからは早かった。umuの散歩をしながら、
「何屋さんになる?」
「二人ならデザインも絡めたいよね」
「贈る人も、贈られる人も嬉しい犬のおやつギフトってどう?」
そんなふうに二人でブレストを重ねていきました。
ブランド名の「iico」は、犬のおやつギフト屋さんになると決まった日の翌日、ふたりで案を出し合って決めました。
「日本語でみんなが知っている言葉がいい」「英語圏でも響きがいいものを」と話していたとき、
妹が「イイコってどう?」と提案してくれて、「それだ!」と一瞬で決定。
イイコは最初はもちろん犬への言葉だったけれど、
“i am iico”とショップカードに載せたとき、
愛犬のために朝から晩まで頑張っている飼い主さんにも「イイコ」って伝えたい、と思うようになりました。
ロゴデザインも、ブランド名が決まってすぐ、妹が10案くらい出してくれて。私も妹も、思考のクセがすごく似ているから、家族や周囲の人たちにも意見を聞きつつ、最終的には自分たちの「これがiicoだね」という感覚で決めました。ロゴは一見ギフトボックスのようだけど、中心には「iico」の“i”が仕込まれています。これは「愛」=“i”の意味も込めていて、“愛と一緒にギフトを届けたい”という想いを重ねました。
線の太さやバランス、どこまでミニマルにできるかまで、とことんこだわったロゴです。
ブランドカラーは、あえて“色を入れないモノクロ”。
その理由は、iicoというブランドに“芯”を持たせつつも、iicoを通して出会った人やイイコたち――みんなそれぞれの色が重なっても、
お互いを邪魔しない、喧嘩しない、そんな柔らかさも大事にしたかったから。
モノクロのロゴには、たくさんの色を受け止める“余白”や“しなやかさ”があって、どんな色と重なっても自分たちらしさを失わない。
強さと柔らかさ、その両方を大切にしたブランドでありたい――
そんな想いが、iicoのモノクロには込められています。
立ち上げ当初から意識していたのは、「犬用品だけど、いかにも犬用品には見えないデザイン」。
おしゃれなカフェのテーブルに“THE犬用品”がどんと置かれていると、なんだか気分が下がってしまう――
そんなことが絶対にないようにしたかったんです。
だから、ペットブランドはほとんど参考にせず、
日常の延長線上で犬と人が一緒に楽しめる、暮らしに自然と馴染むデザインや世界観を大切にしてきました。
3. “順調”に見えた日々と、だんだん見えてきた現実
2020年11月、iicoはショップオープン。
最初は何もかも手探りで、どうやったら多くの人に知ってもらえるのかも分からず、必死な毎日。
でも、SNSを通じて知らない遠くの誰かがiicoのおやつを選んでくれて、注文が届くたびに「本当に届いているんだ」と実感し、心から嬉しかった。
2021年10月、ハロウィンをきっかけに期間限定商品をリリース。
イベントや季節ごとにテーマを決めて、デザインや企画、メッセージも表現できる場所がほしくて、月1の新作リリースをスタートしました。
どんなに忙しくてもひとつひとつのお届けに手書きのお手紙を添えていますが、最初の頃は一方通行の“片想いレター”のように感じることも多かったです。
2022年、初めてインスタライブを始めてから、世界が変わりました。
注文メモにお手紙を書いてくださる方が増えたり、ストーリーズやDMでお客様と直接コミュニケーションが増えたこと――
それが、iicoがもう一段階変わった大きな出来事でした。
でも、世の中の空気も大きく変わっていきました。
コロナ禍をきっかけに犬のおやつ屋さんが一気に増えて、2023年~2024年には、小規模で個性あふれる新しいブランドが続々と誕生。
それまでは「ちょっと特別」だったはずの犬用クッキーも、今やたくさんの選択肢がある時代に。
2024年、インスタグラムのアルゴリズムや広告の変化で、SNS経由の集客も伸び悩み、売上にも影響が出るように。“ノリノリ絶好調”な流れが、徐々に穏やかで静かな波になっていくのを肌で感じました。
「何かが違う」「このままじゃいけない」と思いながらも、iicoが守りたいこと、守らなきゃいけないこと、二人でできること・できないこと――
現実と理想の間で悩み続けた2024年。
さらに2025年1月にはumuの病気が発覚し、生活もブランドも大きく揺れました。
それでも、応援し続けてくれる人、楽しみに待ってくれるイイコたちがいる限り、「やめる」という選択肢だけはどうしても持てなかった。
今できることは何か、どうしたらiicoを続けていけるか、何度も自分に問いかけながら歩いています。
4. 5年間のリアルと迷い――外には見せてこなかった“裏側”
5年続けてきて、一番しんどかったのはやっぱり“お金”のこと。
「好き」を仕事にしたはずなのに、資金繰りでこんなに悩まされるなんて思っていなかった。
iicoを始める前はインテリアデザイナーとして働いていて、その頃は動かすお金の桁も違ったし、正直お金に困ったこともなかった。iicoを始めてみて、初めて「お金の現実」に直面した、っていうのが本音です。
お金がなければ、どれだけ作りたいものがあっても形にできないし、満足な生活もできない。
「自由に使えるお金がほしい、投資に回せるお金がほしい」――頭では割り切っていても、こればかりは本当にしんどい。
(とはいえ、あまりお金の話ばかりするのもどうかと思うけど…でも、これが現実なのです。)
姉妹でやる難しさについて、たまに聞かれることがありますが、本当に悩みはひとつもありません。
「家族だから」というより、「妹だから」できたことばかり。彼女は家族というカテゴリーを超えて、私にとってはただ“妹”という唯一無二の存在。
お互いがそこにいることが当たり前で、いちいち肩書きなんて必要ない。
感覚も価値観も似ているし、苦手なことはさりげなく補い合える。
仕事に対しても、妥協したくないポイントが一緒で、甘えたり遠慮したりもほとんどない。
一瞬空気が悪くなることがあっても、お互い根に持たずに忘れてしまう。
「家族だからうまくいく」というより、「妹とだからここまでやってこられた」――そんな感じ。
“iicoらしさ”を守ること――これもブレたり迷ったりしたことはありません。
私たち姉妹が一番「iicoらしさ」を理解しているし、それがブランドの芯。
でも、こだわりが強すぎる分、全部が“手間と工夫の結晶”。
クッキーの型抜きもキャンディ包みも全部手作業。梱包も「喜んでもらえるクオリティ」を保ちたいからとにかく時間も労力もかかる。
手書きのお手紙、チャットやDM対応、次の企画――全部が同時進行の日々で「マジで休みがない!」と我ながら思う。
それでも「自分たちがやるからこそ生まれるiico」でありたいと思っています。
じゃあ、どうして続けていられるのか?
まずは支えてくれている人たちに恩返しがしたい。
応援してくれる人、楽しみに待ってくれている人、イイコたちに応えたい。
そして何より、私たち自身が“iico”のことが大好きだから。
やめる、という選択肢は今の私たちには悲しすぎて考えられない。
5. それでも続けてきた“理由”
やめる、という選択肢。
この5年、頭をよぎったことがないわけじゃないけれど、iicoを続けてきた最大の理由はやっぱり、「応援してくれる人がいる」「楽しみにしてくれている人がいる」こと。それ以上でも、それ以下でもない。
やっててよかった、と思える瞬間はやっぱり、iicoのおやつが届いて、誰かが心から喜んでくれる声を聞けたとき。
「かわいい!」「食いつきがすごかった!」「また注文します」――
そんな声に出会えるたび、「やっててよかった」と心から思う。
これまでiicoを続けてきて「選ばれるブランドでいたい」という気持ちも、もちろんあった。
でも、それと同じくらい、いやそれ以上に大事にしたいのが「自分たちがiicoを好きでいられること」。
自分たちが心からiicoを好きでいられなかったら、おもしろい発想も、ワクワクするデザインも生まれないから。
“選ばれるブランド”であることは、あくまでその結果。
これまでは「こんなおやつ、どう?」と作品のようにただ出して、見た人に良さを感じ取ってもらえればそれでいいかなと思っていました。
だからインスタに力を入れてきた側面もあります。
でも今は、伝わることを願うだけじゃなくて、
「自分たちが思うiicoの魅力を、どれだけ真摯にちゃんと言葉にして届けられるか」が本当に大事だと感じている。だからnoteも書いています。
“選ばれるブランド”って、選んでくれる人がいてこそ成り立つ言葉。
私たちはその「過程」を全力で楽しみながら、企画・デザイン・ブランディングしていきたい。
5年経った今、iicoを続けている自分たちに言いたいこと。
5年前の自分からしたら、想像もつかなかった場所まで来てしまったな、という感覚がある。
苦手なことも、これからはもっとがんばっていこう。
少しずつでもがんばろう。
でも、こうして続けてこられたことだけは、ちょっと自分を褒めてあげたいです。
6. いま、「iicoで買う理由」をもう一度自分の言葉で
犬のおやつって、決してただの“おやつ”じゃないと私は思う。
それは、犬と人とをつなぐ大切なコミュニケーションの時間であり、誰かを想う、ちょっと特別な気持ちを形にできるもの。
だから、体にいいのはもう当たり前だし、かわいさだって当たり前の時代。
iicoが大事にしているのは、“みんなの75点”じゃなくて、“誰かの100点”を目指すこと。
パッケージもラッピングも、見た目だけじゃなく意味や物語を込めて、
ひとつひとつのデザインや企画には理由とストーリーがある。
“普通”じゃ物足りない人、どこかエッジの効いたものを探している人、
犬を心から愛してやまない人――
そんな誰かの“ど真ん中”に刺さるものを作っていたい。
それが、「iicoで買う理由」だと思っています。
「犬にも人にも地球にもやさしい」という理念も、最初から今までずっと、
レシピを考えるときも、パッケージを選ぶときも、すべての判断基準に根付いている。
自分でも“細かすぎる”こだわりだと思うこともあるけれど、そうやってできあがったものを、iicoのおやつとして届けてきました。
もし今までiicoを選び続けてくれたお客様にひとつだけ伝えられるとしたら――
「見つけてくれて、ありがとう」。
伝わりづらいこだわりも、ちゃんと受け取ってくれた人たちは、きっとみんな優しい人たちなんだろうな、と思う。
「iicoじゃなきゃダメ」と思ってくれる人がひとりでもいてくれるなら、きっと私たちは間違っていなかったんだと、安心できる気がする。
(もちろん、それだけだと商売にはならないんだけどね。笑)
でも、そうやって“誰かの心に届くもの”を作り続けていたい。
その気持ちは、これからも変わらない。
7. これからのiicoと、この記事を読んでくれたあなたへ
この5年で「やりたいこと」「挑戦したいこと」は、むしろどんどん増えています。
新しいレシピ、新しいパッケージ、まだ見ぬアイディアたち――
「もっとこうしたい!」は正直、挙げればきりがないくらい。
課題ももちろん、山ほどあります。
たとえば、経営やお金のこと。きちんと勉強しなきゃいけないなと思っているけれど、今となっては“不安”というより、“これからの明るい未来のための勉強”だと思っています。
“やらなきゃ!”じゃなくて、“知ればもっと面白くできるかも”という、今はそんな前向きな気持ちです。
そして、ここまで長いnoteを最後まで読んでくれたあなたに――
本当にありがとう。
どう? 少しでもiicoのこと、好きになってくれた?
…それとも?(笑)
どんな答えでも、こうして向き合ってもらえたことが、私にとっては何よりのご褒美です。
8. おわりに――5年目の七夕、私たち姉妹から
もし、5年前の自分に今の私が声をかけるとしたら、
「小売業、舐めんなよ」――と言いたい(笑)。
妹は最初から小売の現実をわかっていたけど、私はまったくわかってなかった。でも、その無謀さや勢いがなければ、きっとここまで来られなかった気もします。
未来のiico、そしてこれからの“アッネとイッモ”に向けての願いごと。
「イイコ」が世界共通語になることが、今もずっと夢です。
そして最近では、「イイコの森」を作ることが新しい目標にもなりました。
5年経っても、やっぱり夢ばかり見てる。でも、その夢が少しずつ近づいていくことが、今の一番のワクワクです。
5年目の七夕。
まだまだ夢の途中ですが、これからも姉妹ふたりで“イイコ”を続けていきます。
ここまで読んでくださったあなたに、心からありがとうを。
2025年7月7日
iico 浅田姉
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